卯酒
三好達治の随筆集をパラパラとめくっていたら、その名もずばり『酒』と題した物を見つけました。
読むと「卯酒」(ぼうしゅ)と「亀酒」(きしゅ)なる物について書いてあります。
卯酒とは、十二支の卯の刻(午前5時~午前7時)に飲む酒。寝酒。
(三好は、なぜか午前8時頃と書いてますが)
亀酒とは、寝床の布団から首だけ出して飲む酒の事だそうです。
当時、こういう飲み方が一番美味いと俗に云われていたようです。
そこで三好も、これをやって見たようです(実は、初めてでは無いようでしたが)。
「なるほど」とも「さほど」とも思ったそうです。
私は、卯酒も亀酒もやった事はありません。
昼間仕事する人には、不向きなのは言うまでも無いでしょう。
まあ、休日なら昼間から飲む人はいると思いますが、
卯の刻(午前6時前後)から酒を飲む人が、どれほどいるのか知りません。
逆に夜間に仕事する人にとっては、自然なことで、特筆すべき事でも無いと推察します。
卯酒にしろ亀酒にしろ、昔の人は、妙な事に妙な価値を見出した物だと思います。
妙な事を思いつく心の余裕があったのでしょうか。
現代人は、心の余裕はあまり無さそうに見えますが、なぜか妙なニュースだけは多いように感じます。
いつの日にか卯酒や亀酒でもやりながら考えれば、何か分かるでしょうか。
終わり
田山之浩